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百年の孤独
 
いつかは読もうと思いながら、なかなか手をだせずにいたガルシア・マルケスの『百年の孤独』。三田誠広氏の著書『実存と構造』で、構造主義の小説として興味深く紹介・解説されていたのでそれを機に読んでみた。

世界各地で残っている神話はなぜどれも同じようなストーリーばかりなのか?ある特定の神話がもとになって世界各地に伝わったわけではなく、数多く生まれた物語のなかで人間の普遍的な欲求にあうものだけが自然淘汰により生き残った、というわけです。その物語のなかの営みも登場人物である個人が各々行なっているようで、結局は世の中の構造(無意識のうちに人が求めている)に従って、延々と同じような物語が繰りかえされている。それが神話の構造。

『百年の孤独』は、まさにそんな神話的構造を利用して創られた作品。架空の村マコンドの一族の100年・6代にわたる衰勢が描かれています。読む際にこんなウンチクはどうでもいいことなんですが、大事なのは“できる作り手”はこれをうまく利用しているということ。大江健三郎をはじめとした多くの作家が影響を受けたそうです。

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映画「スターウォーズ」も神話的構造を利用して創られているひとつ。ジョージ・ルーカスが神話学者ジョゼフ・キャンベルに大きな影響を受けたらしい。主人公ルークが困難を乗り越えた後、父親であるダースベイダーと対決しますが、父子の対決は神話でよくあるパターンです。

子が親を倒す物語が世の中で多く残っているのは、民衆の“世の中が変わって欲しい”という革命願望のせいとのこと。

そういった世の中の隠れた構造に合致したものが、長く残っていくのですね。

意図して取り入れてるかどうかはわかりませんが、韓国の歴史ドラマや、「渡る世間は鬼ばかり」なんかも、そんな構造に合致しているように思えます(笑)。
 
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by hi-g_blog | 2011-10-28 20:19 | 読書
フランドリアン
 
『フランドリアン写真展』を見てきました。

ベルギーのサイクルロードレースや選手をモノクロで撮影しているのですが、ぼくの好みど真ん中。フィルムの粒子感がしっかり出ていて、浅めの被写界深度が多い。

エディ・メルクス、ジルベールなど選手の肖像や、レースを楽しんでいるロードレースファンをセンスある視点で捉えたものなど厳しさと暖かさが同居するロードレースの雰囲気がよく伝わってくる。
中でもおもしろかったのは、この地方のレースの象徴でもある石畳そのものを俯瞰から切りとったものをマルチに並べた素材的な写真と、石畳の田舎道を情感たっぷりに撮った風景写真。ふたつとも自転車も人も一切入ってない。

“自転車”と“写真”が好きな人は必見の写真展でした。
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by hi-g_blog | 2011-10-15 14:53 | 写真
荘子に学ぶ
 
「荘子に学ぶ」/ジャン・フランソワ・ビルテール

スイスの大学教授による荘子についての講義をおさめた本。

“西洋人が中国古典について書いてもたいして面白くなかろう”とあまり大きな期待を抱かずに読み始めたのですが、大間違い。興味深い考察の連続でウィトゲンシュタインやレヴィ・ストロースなんかの名前も登場するので、とってもエキセントリックな荘子論。

『荘子』は、人気の高い論語や老子に比べると取り上げられることが少ない古典ですが、機知とユーモアに富んでおり文学的にも楽しめる。「胡蝶の夢」や「木鶏」の話が有名。

「荘子に学ぶ」の訳者があとがきで、“この文明社会のなか、3.11を経て、各自新たなパラダイムへの歩みを始める”ことができるという主旨のことを書かれていたが、『荘子』にはホントにそのチカラがあると思う。

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by hi-g_blog | 2011-10-08 18:51 | 読書
9月に読んだ本
 
今月も読書メーターでのまとめ。

9月に読んだ本の中でイチオシはやっぱり『存在の耐えられない軽さ』。クンデラの表現力には衝撃を受けました。アタマが良すぎると思うなあ、この人。

最近まで翻訳もの・海外文学が苦手で(「カラ兄」を途中で断念したり)あまり読んでなかったのですが、東欧の作家がけっこう相性がいいんじゃないかというのが最近気づいたこと。ミラン・クンデラ、アゴタ・クリストフ、ジャージ・コジンスキー、ヴィクトール・フランクル…と、最近読んでみてよかった作品は東欧作家ばかり。

アゴタ・クリストフ(ハンガリー)とジャージ・コジンスキー(ポーランド)はかなり平易な言葉だけで書かれているのでとにかく読みやすい。2人とも亡命して母国語ではない言語で小説を書いていて、少し前に芥川賞を受賞したヤン・イーさんもそうですが、言語・語彙に精通しているのがいい小説を書く条件ではないということですね。

9月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2468ページ
ナイス数:17ナイス

庭師 ただそこにいるだけの人庭師 ただそこにいるだけの人
東欧作家コーナーで見つけて読んでみました。 どう読めばいいのか?文明社会(アメリカ)や知識人を揶揄してるようでもあり、道家のように作為を否定していると読むこともできる。また、単なるコメディとしても楽しめる。ニーチェのツァラトゥストラが下敷きとのことだが、まるで荘子の寓話を読んでるようです。 とにかく、読みやすい。アゴタ・クリストフ同様、亡命作家なので母国語で書かれていないことが大きく影響しているのでしょうか。
読了日:09月28日 著者:ジャージ コジンスキー
嘔吐 新訳嘔吐 新訳
小説として読む。実存主義のテキストとして読む。どちらにしても、ついていきづらい。しかし、マロニエの根っこの場面以降はけっこう引きこまれたし、希望のもてるエンディングも◎
読了日:09月27日 著者:J‐P・サルトル
アーティストの言葉―美の創造主たちの格言アーティストの言葉―美の創造主たちの格言
印象に残るものがいくつかありました… 「だが、真のクライアントは自分自身なのだ」ソール・バス。「私は自分が特別な存在とは思っていない」クリムト。
読了日:09月22日 著者:
虹の彼方に (講談社文庫)虹の彼方に (講談社文庫)
原発や基地問題など、2011年のいま読んでもまったく古くない。著者の慧眼には恐れいります。
読了日:09月20日 著者:池澤 夏樹
存在の耐えられない軽さ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-3)存在の耐えられない軽さ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-3)
クンデラの表現力にまいった。キッチュの解釈も興味深く、最高の哲学小説だと思う。
読了日:09月17日 著者:ミラン・クンデラ
スティル・ライフ (中公文庫)スティル・ライフ (中公文庫)
「意味ではなく、形だけを見る」というスライド写真鑑賞のシーンがお気に入り。
読了日:09月15日 著者:池澤 夏樹
日本のコピーベスト500日本のコピーベスト500
これだけの名コピーをあらためて読むと、なんか、じんときますね。
読了日:09月10日 著者:安藤 隆,岡本 欣也,仲畑 貴志,前田 知巳,小野田 隆雄,佐々木 宏,山本 高史,児島 令子,一倉 宏,澤本 嘉光
本当にわかる哲学本当にわかる哲学
136,7pあたりはゾクゾクきた。著者の想いが伝わってくる構成が◎。
読了日:09月09日 著者:山竹 伸二
読書について 他二篇 (岩波文庫)読書について 他二篇 (岩波文庫)
読了日:09月03日 著者:ショウペンハウエル
ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)
ちょっと理解しづらい…。それにしても、よくここまで喋れるものだ、ソクラテス。プラトンの演出はどのくらい入ってるんでしょう?
読了日:09月02日 著者:プラトン

2011年9月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター

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by hi-g_blog | 2011-10-01 18:25 | 読書


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